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目指せ!長野まちの縁側
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和気あいあいのまち再興

―まちの縁側づくりの提案―

1 まちの縁側の必要性

 かつては都市にも田舎にも、家々には縁側という日だまりにヒトとヒトが自ら出会い談笑するつながりの場がありました。しかし、新しくできる住まいから縁側が消え、人と人のふれあいがなくなり、地域の人間関係がキシみ始め、淋しい思いをする人々が増えてきました。高齢者にも子どもにも生きにくい状況を生みだしてしまっています。

 今の希薄化した人間関係を結びなおし、コミュニティの再興を図り、豊かなものにしていくには、ヒト・モノ・コトがゆるやかに行き交う場が必要です。それは単なる空間としての場所ではなく、ヒトとの出会い、楽しみや食べ物、伝統行事や自然環境など、さまざまなヒトやコトやモノが行き交い混ざり合い、人間関係がより豊かになる「地域共生の場」です。そこを「まちの縁側」と呼び、コミュニティ再興を目指す地域からの静かなムーブメントとして、日常の暮らしの中に広めていく必要があると考えます。

2 まちの縁側とは

ヒト・モノ・コトがゆるやかにつながり合う地域共生の場・安心居場所

まちの縁側物語その1
紙芝居風『ウメさんとハナさんのまちの縁側物語』

まちの縁側は単なる場所ではなく、人がつどい、心をかよわせ、つながりあう場です。そこでは、さまざまな営みが行われており、 (1)楽しい場、ほっとできる場、喜びを分かち合う場です
(2)老若男女がつどう場、かかわりあう場、出会う場です
(3)相互にかかわる中からお互いに気づきあう場です
(4)多様な価値観を相互に受け止め、認めあえる相互理解の場です
(5)域の中で起きているさまざまな問題解決の場です

さらに、さまざまなまちの縁側がつながり合う豊かな「縁が輪」(ネットワーク)に発展する可能性を持っています。

3 まちの縁側にあるもの(まちの縁側の要素)

 まちの縁側には
   ひとをつなぐヒトがいます
     ひとをつなぐモノがあります
      ひとをつなぐコトがあります

(1)人をつなげてくれるヒト

 お店のご主人、女将さん、近所のおばちゃん、おじいちゃん、施設の職員さん、駅長さん、社長さんなど人に関わろうとするヒト、つなげてくれるヒトがいます。

(2)人がつながるモノ

 懐かしいおふくろの味、みんなで食べるうどんやおやき、暑い夏のかき氷や一杯の麦茶、モノづくりや園芸、畑でつくる野菜、楽器、思いのあるベンチ、丸テーブル、昔からある街並み、故郷の山、川などつながるモノがそこにはあります。

(3)人がかかわれるコト

 人との出会い、モノを食べるコト、歌をみんなでいっしょに歌うコト、話を聞いてくれるコト、寄り添うコト、ふれあいサロン、年1回のまちのお祭り、ボランティア活動や趣味活動などヒトが関われるコトをおこしています。

4 まちの縁側の事例

いくつかのまちの縁側と思われる個所を調査して、まちの縁側の特徴的な事例を整理すると次のようになります。

(1)自宅がまちの縁側に

毎月2回自宅の離れを開放して始めた稻田団地のお茶のみサロン。高齢者が閉じこもりがちにならないように「寄ってって」というそんな場所。一つひとつに心づかいが感じられる心地よいところ。話をすることで元気がでます。保育園の園児が飛び入り参加することもあります。(よこちゃんちの寄り合い所)

(2)地域公民館がまちの縁側に

若穂団地の公民館で毎月1回開かれている「仲良し広場」は「地域の中で子育てを!」の考えから生まれました。次世代を担う子どもたちが安心して遊べる場所をつくっています。おじいちゃん、おばあちゃんの世代の方に紙芝居を読んでもらい、親子で季節の遊びをとおして心豊かに育っています。(若団福祉会)

(3)商店がまちの縁側に

ラーメン屋さんで毎月1回行われる歌声ひろばはみなさんが主役。会場を作る人、リクエストする人、模造紙に書かれた歌詞を張る人、アコーディオンやギターを弾く人、ドラマーはここのご主人。4年ほど前に高齢者の方があまり外にでることもなく寂しいだろうと自分のできる事で始めました。(南京亭)

(4)鎮守の森がまちの縁側に

地域の神社の森はみんなのより合う場。古木に開いた穴はかまくらみたい。お祭りや盆踊り、花火大会なども開かれる場。落ち葉を集めての焼き芋大会も地域公民館の行事として開かれています。隣には栗田公民館があり、地域のよりどころとなっています。(日吉神社の森)

(5)福祉施設がまちの縁側に

団地の中にある精神保健福祉施設の地域活動支援センターです。喫茶コーナーや気軽に地域の人が寄れるギャラリースペースがあります。絵画や陶芸、パッチワークなどを展示し、発表の場、交流の機会をつくっています。何より地域とのつながりを大事にしています。(皆神ハウス)

(6)ボランティアセンターがまちの縁側に

長野市ふれあい福祉センター1階の「ボラセン」はボランティア活動を支援するだけではなくヒト・モノ・コトをつなぐ場になっています。掲示板やチラシが置かれ、「縁側へいらっしゃい」「ずぼら工房」など出会いの場も開かれています。丸テーブルは誰かと話したいとき、ちょっと疲れたとき、ひとりでぼうっとしたいとき、いつもまあるい気持ちで待っているところです。(ボランティアセンター)

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【事例の中からわかったこと】
(1)まちの縁側は身近にある
(2)担っている人が縁側の役割をしていることに気づかずにいる
(3)地域には縁側になる資源が豊富にある
(4)縁側になり得る公共の場がたくさんある

5 推進プロジェクト

 人と人、人と活動、人と地域が緩やかにつながりあえる「えんがわ」を長野市内にたくさんつくろうと「まちの縁側プロジェクト」をボランティアセンター運営委員を中心にして立ち上げ、第1回目の会合を2007年5月17日に開きました。まちの縁側の事例を収集し、分析まとめを行い、事例集を作成し普及を図る計画です。あわせて、まちの縁側づくり実践講座も各地区で開催する予定です。

つながりのない孤立化している関係を、豊かなつながりをつくり、包み込む空間としての【まちの縁側】を発見創造していくことをめざしてプロジェクトで検討が始まりました。
なぜ今、「えんがわ」なのかを議論しました。
まちの縁側とおもわれるところを探検することになりました。